国立社会保障・人口問題研究所によると、島根県の人口は2050年に50万人を下回るとする推計を国の研究機関がまとめました。少子高齢化が進む中、島根県内の人口はすでに65万人を割り込んでおり、人口減少対策をいかに進めるかが課題となっています。2020年におよそ67万人だった島根県の人口は、2035年には13%減って58万人、2050年には25%減の49万人となり、50万人を割り込む見通しです。
年代別では、2050年には65歳以上の高齢者割合は39%と人口の40%近くを占める一方で、15歳から64歳までの生産年齢の割合は49%と半分以下になり、0歳から14歳の子どもは10%にまで減少して少子高齢化がいっそう進行する見込みです。島根県内の人口減少が想定よりも早いペースで進んでいることに対して、丸山知事は「石見・隠岐から出雲圏域に人口が入ってきている実情もある。県内全体のバランスを見ないといけない。石見圏域は広島や山口、九州に近いという地理的な強みを生かして観光振興を進めるほか、隠岐圏域は出雲や境港以外からも人が入って来られるよう交通インフラを拡充して他の地域からの人の流入を積極的に進めたい」と述べています。島根県は、将来的に生活機能を維持確保するため、日常生活に必要な機能を基幹集落に集約する「小さな拠点づくり」を進めています。都道府県別の人口で、島根県は全国で2番目に人口の少ない県となっていますが、2050年には高知県や徳島県の人口減少の勢いがより一層強まることから、島根県の人口は全国で4番目に少なくなると予想されています。エリア別で見ると、石見圏域と隠岐圏域の人口は、1960年代の人口を下回り、すでに昭和の経済成長期の半分にまでなっています。
地域別人口をみると、島根県の人口減少は「中山間地域・離島問題」であることがわかります。島根県人口は1955年の92万9000人をピークに67年間で27万人減少しています。松江市と出雲市が増加や横ばいを続け、東部の人口減が4万9000人にとどまる一方で、中山間地域となる西部は4倍の19万6000人も減少しています。出雲市の総世帯数は増加傾向にあり、外国人住民も増加したことで、出雲市に限っては労働力人口も増加しています。島根県には誰もが知る日本を代表する神社「出雲大社」がありますが、もちろん外国人にも人気の観光スポットです。しかし、島根県は外国人観光客数が全国最低であることも事実のようです。
人口減少は需要減、産業の衰退につながり、利便性の低下が更なる人口減をもたらして地域の存続に影響を及ぼすことにつながります。人口減少やこれに伴う経済規模の縮小を視野に入れたインフラの維持・補修策の検討は、インフラサービスの事業者にとって共通の課題となっていますが、人口減少エリアでは、設備の老朽化によって人口当たりインフラ維持コストが増加し、維持できなくなる事態が懸念されています。高齢化による影響も長期的に見れば、行政に悪影響を与えます。流行とか消費に興味がなくなった年金生活の高齢者ばかりの社会では、経済が縮小していくことになります。若い世代は活気のあるエリアに生活の拠点を移すことになります。労働人口が減少すれば、消費の中心となる人口が着実に減少していくことになり、さらに経済を縮小させます。税金を集められなくなった市町村は行政サービスを住民に提供することが徐々にできなくなっていきます。統廃合を繰り返しながら、なんとか持ちこたえようとしますが、自治他の判断では、住民に対して行政サービスを提供するエリアとストップさせるエリアを区分することになっていきます。財源がそのまま確保できなければ、打ち捨てられたエリアは徐々に広がっていくことになります。水道料金も高騰し、宅配も日数を要することになっていきます。突然の体調不良時にも救急車が駆けつけられなくなり、火事があっても消防車はなかなかやってこなくなります。自然災害などのトラブルが発生してもすぐに対応してもらえることもなくなり、治安がさらに悪化していきます。電線が切れて火花が散っている光景を目にすることがあるかもしれません。カラスや野生動物の死骸も転がったままになるかもしれません。ゴミは月に一度しか回収されなくなり、道路の街灯は消え、道は荒れた箇所がそのまま放置されガタガタになります。橋が落ち、町中から街灯が消え、空き家が崩れ、ツタに埋もれている光景が広がっていきます。最終的には通行止めになり、陸の孤島と化していきます。
しかし、そんな未来が想定されるエリアにお墓をそのまま放置している人たちもまだまだ少なくありません。数十年後にはそこにお墓があっても、その場所にたどり着くことさえ出来なくなるかもしれません。将来を見据えてお墓に対してしっかりと対応している人たちも徐々に増えてきました。【墓じまい・改葬】は決して先祖を粗末にする行為なのではなく、先祖を大切に考えているからこその将来に向けた対応です。厚生労働省が2023年10月に公表した「令和4年度衛生行政報告例」によると【墓じまい・改葬】の件数は1年間で日本全国で15万件以上もあります。日本全国の件数は20年で2倍以上に増加していることになります。ライフスタイルや価値観の多様化、そして急速な高齢化と少子化が同時に進んだ事が大きな要因かと考えられています。【少子高齢化による人口減少】を食い止めることは、もはや困難です。墓じまいの件数もますます増え続けていくことでしょう。今こそ【墓じまい・改葬】を本気で考えるタイミングに来ているのかもしれません。 |