富山県の総人口は、1998年の1,126,336人をピークに毎年1万人ペースで減少し続けています。2024年には、いよいよ人口が100万人を下回り、戦後まもない1949年前後の水準となっています。厚生労働省が発表した人口動態統計によると、1年間に県内で生まれた子どもの数=出生数は、6000人を割り込み、過去最少となりました。富山県内の人口減少の背景としては、少子化に加えて、若い女性の県外への転出が多いことが指摘されています。
若い世代が離れていく転出超過は非常に重大な問題で、雇用が少ないことや、通える大学がないことなどの具体的な理由はあるものの・・・総じて魅力がないことや暮らしずらいことを物語っています。魅力がないエリアに墓だけが取り残されている実態は、見るも無残で、荒れ果てた墓を放置されている状況は、ますます墓を放置する状況を招きます。まさにこれは「割れ窓理論」です。「割れ窓理論」とは、1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃してしまうという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論です。こうした人間の心理が地域の環境に大きな影響を与えています。
富山県では市町村合併が進められ市町村数が全国一少なくなっていることに留意する必要もあります。市町村合併は行政の予算によるところが大きく、経済的に立ち行かなくなっている状況が伺えます。人口減少やこれに伴う経済規模の縮小を視野に入れたインフラの維持・補修策の検討は、インフラサービスの事業者にとって共通の課題となっていますが、人口減少エリアでは、設備の老朽化によって人口当たりインフラ維持コストが増加し、維持できなくなる事態が懸念されています。水道料金も高騰し、宅配も日数を要することになっていきます。トラブルが発生してもすぐに対応してもらえることもなくなり、治安がさらに悪化していきます。道路の街灯は消え、道は荒れたままになります。家やお墓に通じる道も荒れていき、最終的には通行止めになることさえ考えられます。
厚生労働省が2023年10月に公表した「令和4年度衛生行政報告例」によると【墓じまい・改葬】の件数は1年間で日本全国で15万件以上もあります。日本全国の件数は20年で2倍以上に増加していることになります。ライフスタイルや価値観の多様化、そして急速な高齢化と少子化が同時に進んだ事が大きな要因かと考えられています。50年後には日本人の半分は55歳以上になるとも言われていますので、【少子高齢化による人口減少】を食い止めることは、もはや困難です。そのため、改葬(墓じまい、引っ越し)件数もますます増え続けていくことが予想されています。 |