山口県の人口は、1986年のピークを過ぎてから減少に転じ、すでに人口は130万人を切っており、最低水準になっています。国立社会保障・人口問題研究所によると、山口県では2050年までの30年間で人口が30%以上減り、100万人を下回るという推計が公開されました。山口県の人口は2020年は134万2000人でしたが、2045年には99万1000人、2050年には92万6000人まで減少する見込みです。このペースは、全国平均の17%よりも速いペースです。山口県人口の減少率は、中国地方5県で最も高く、最も低い広島の2倍を超える水準になっています。
今後さらに少子高齢化が進みますが、人口に占める65歳以上の高齢者割合は、2020年の34.6%から2050年には42.3%まで上昇する見通しです。人口減少が加速する山口県にとって、長年続く若者の県外流出は大きな課題になっています。東京周辺や隣接する福岡、広島への転出が続き、特に若い女性の占める割合が大きい。県は企業誘致やテレワーク移住の促進など、あの手この手で県内への定着を図るが、目に見える成果と言えるまでには至っていません。若者世代の減少は、更なる悪循環へとつながり、アリジゴクから抜け出すことが困難になる可能性も大きくなります。
人口減少は需要減、産業の衰退につながり、利便性の低下が更なる人口減をもたらして地域の存続に影響を及ぼすことにつながります。人口減少やこれに伴う経済規模の縮小を視野に入れたインフラの維持・補修策の検討は、インフラサービスの事業者にとって共通の課題となっていますが、人口減少エリアでは、設備の老朽化によって人口当たりインフラ維持コストが増加し、維持できなくなる事態が懸念されています。高齢化による影響も長期的に見れば、行政に悪影響を与えます。流行とか消費に興味がなくなった年金生活の高齢者ばかりの社会では、経済が縮小していくことになります。若い世代は活気のあるエリアに生活の拠点を移すことになります。労働人口が減少すれば、消費の中心となる人口が着実に減少していくことになり、さらに経済を縮小させます。税金を集められなくなった市町村は行政サービスを住民に提供することが徐々にできなくなっていきます。統廃合を繰り返しながら、なんとか持ちこたえようとしますが、自治他の判断では、住民に対して行政サービスを提供するエリアとストップさせるエリアを区分することになっていきます。財源がそのまま確保できなければ、打ち捨てられたエリアは徐々に広がっていくことになります。水道料金も高騰し、宅配も日数を要することになっていきます。突然の体調不良時にも救急車が駆けつけられなくなり、火事があっても消防車はなかなかやってこなくなります。自然災害などのトラブルが発生してもすぐに対応してもらえることもなくなり、治安がさらに悪化していきます。電線が切れて火花が散っている光景を目にすることがあるかもしれません。カラスや野生動物の死骸も転がったままになるかもしれません。ゴミは月に一度しか回収されなくなり、道路の街灯は消え、道は荒れた箇所がそのまま放置されガタガタになります。橋が落ち、町中から街灯が消え、空き家が崩れ、ツタに埋もれている光景が広がっていきます。最終的には通行止めになり、陸の孤島と化していきます。
しかし、そんな未来が想定されるエリアにお墓をそのまま放置している人たちもまだまだ少なくありません。数十年後にはそこにお墓があっても、その場所にたどり着くことさえ出来なくなるかもしれません。将来を見据えてお墓に対してしっかりと対応している人たちも徐々に増えてきました。【墓じまい・改葬】は決して先祖を粗末にする行為なのではなく、先祖を大切に考えているからこその将来に向けた対応です。厚生労働省が2023年10月に公表した「令和4年度衛生行政報告例」によると【墓じまい・改葬】の件数は1年間で日本全国で15万件以上もあります。日本全国の件数は20年で2倍以上に増加していることになります。ライフスタイルや価値観の多様化、そして急速な高齢化と少子化が同時に進んだ事が大きな要因かと考えられています。【少子高齢化による人口減少】を食い止めることは、もはや困難です。墓じまいの件数もますます増え続けていくことでしょう。今こそ【墓じまい・改葬】を本気で考えるタイミングに来ているのかもしれません。
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